モテキ

モテキ(映画)を見てきた。

ドラマは見ていなかったけれど、丁度ドラマが話題になっていた時に原作の漫画を読んでいたので、おおよその内容は想像がついていたけれど、楽しめる映画だった。

以下感想(ネタバレあり)

みゆき(長澤まさみ)に初めてときめいた。これまで何回か彼女が出演している映像を見ていたとおもうのだけど、今まで自分が見てきたものが真面目な役のものばかりだったせいなのか、特に好きでも嫌いでもない俳優だったけれど、映画の演技を見て好きになった。

明るくて、幸世のサブカル話に盛り上がれて、かわいい。基本いつもにこにこして愛想がいいから自然と誰にでも好かれるタイプ。

幸世はみゆきの事を彼氏がいる⇒同棲している⇒その相手は妻帯者 という流れで知っていくわけだけど、
相手の事を知るたびに獲得するためのハードルがあがっていくのに、それでも最後まであきらめなかった幸世の執念の勝利なのかしら。

るみ子(麻生久美子)が幸世を好きになるのが最初良くわからなかったけれど、自分の仕事に興味を持ってもらえた事と趣味(一人カラオケ)の共通項があったから好きになったんだと思っている。
意外にもるみ子の行動は積極的で、幸世に「重いよ」と言わせてしまった。けれど、幸世に振られて、でもあきらめ切れなくて押し倒した上に泣きながら「時分の好きな人の話題についていけるように頑張る」というのって男性(頼られるのが好きな人)によっては、「じゃあ一緒に勉強しようか」と泣きじゃくるるみ子の頭を撫でて、ちゃんと付き合い始める→ハッピーエンドという流れもあるかもしれない。

周りが知らないサブカル話で盛り上がれることに一種のステータスを感じている幸世にはそこまでの余裕はなかったんだろうけれど。

素子(真木よう子)は幸世の上司役で、映画では幸世の頭の中の独白が彼の挙動不審な行動を理解するのに役に立っているけれど、彼女の場合は思いついた側から、歯に衣着せぬ口調もしくはとび蹴りで「現実」を幸世に浴びせる。

愛(仲理依紗)は登場時間は短かったけれど、店での派手な化粧と、仕事外のそれの落差に驚いたけれど、ONでもOFFでも着飾らない話し方(距離を置きすぎず、なれなれしすぎず)が好きだった。

幸世を振り回す女性陣の演技が上手かったのもあるだろうし(幸世を演じた森山未来の演技は言うまでもなく)、4人の女性をそれぞれ引き立てるための撮り方をした監督
の手腕もあると思う。

特に印象に残っているシーン

るみ子とアクシデント的に幸世が一夜を過ごした後に、ライブ会場でるみ子とみゆきに会い、少し言葉を交わして呼び止めた後に振り向いたるみ子とみゆきの表情に2人の温度差がはっきりと映し出されていたことだ。幸代の声に反応して振り返った二人の顔はどちらかというとみゆきのほうに焦点が合っていて(だけど、その表情は敵意に近い)、遅れて振り返ったるみ子は表情はぼやけている(けれど口角は僅かに上がって微笑んでいるように見える)
その比較がはっきりと分かったし、それと同時にこれまで見せなかった嫌悪の表情が恐ろしかった。

終わり方にはもやもやが残っているので、これでよかったのかなと思う部分はあるけれど(と書いてみたものの、終わり方として今のところ他の方法が見当たらない)

欠点がない人よりも影のある人のほうが魅力的に見える、という言葉があるけれど、
影(サブカルクソ野郎&セカンド童貞)の幸世がほんの少しだけ前に進むことを見届けた充実した約2時間だった。

映画を見てから、初めて映画の公式HPを見たけれど、あまりにシンプルでびっくりした。
公式HP上にある情報は僅かで、twitterfacebookのページにコンテンツを分散されている。映画の中身だけではなくて、あらかじめBUZZがうまれるように計画されていた。HPもまた映画を見に行きたいとおもわせる人を刺激する重要なコンテンツだし、ドラマの映画化だけど周到に計画された企画だと感心した。