一人旅で考えたこと①

最近1週間ほど国内を一人旅してきた。

これまで一人旅は数えるほどしかしていないけれど、一人でいる時間があることで、自分を見つめるいい機会になる。

旅に出たときに、日常と大きく変わることがある。それは、テレビを見るという行為。
普段は一日30分も見ていないのだけれど、ホテルに泊まると、テレビがあるし、持ち込んだ本を読むことに飽きてしまったときは、テレビを見る。

テレビの内容は、国内の場合はほとんど変わらないけれど、地方の天気予報を見ると、自分が今旅をしていることを認識する。
それから、都会と違って、空が広いことに気がつく。都会は空を埋める勢いで、ビルが建っていて少し息苦しい。けれど、今回訪れた場所は、あまり高い建物がたっていないこともあり、地平線に近い部分を見ることが出来た。

一人旅を始めたときは、予定をめいいっぱい入れないと気がすまなかった。せっかく旅行に来たのだから精一杯楽しまないと。と思っていたのだ。ただ、それをやると、予定を消化することが目的になってしまい、余暇を過ごしているのではないということに気づいたのだった。
これと同じようなことは、初めて漫画喫茶に入った時の気持ちと似ている。お金と引き換えに、ある時間内個室で何をしてもいい。何もしなくてもいいのだけれど、何かしないと払ったお金がもったいない。そうして、何故か普段以上にいそいそと「何かしないといけない」という気持ちにさせられる。

これに気づいてからは、旅行中一日の予定は固定させないようにした。もちろん、必ず訪れてみたい場所はいくつかは抑えておく。空いた時間は、歩いていて気になった所にふらりと訪ねてみる。何気なく歩いているときに気になるところがあったら、そこに入ってみる。それだけでも楽しい気分になる。

ある日、歴史的な町並みを保存している土地を訪れた。その一角は江戸時代に建てられた住宅をそのまま残しているという。家の中も見ることが出来るとのことだったので、興味がわいた。私が訪れたときは、まだ盆休みの前だったので観光客はまばらにしか人はいなかった。
しかし、目当ての住宅についたとき、どうしても足を踏み入れることができなかった。扉は開いているけれども、中は薄暗く、人がいる気配がしない。後から分かったことだけれど、店の中に足を入れたら呼び鈴がなる仕組みになって、奥から店員の人が出てくるのだった。

そんな中、一箇所だけ人の出入りが多い店があった。そこは酒屋で、入り口には「ご自由にお入りください」と書いてある。中は明るく、人も入りやすい。中にいた店員の女性とも話しやすい雰囲気があった。
この違いは何だろうか。ただ、扉が開いているだけではだめなのだ。住居のつくりからはウインドウ越しに品物を見せることも出来ない。それに加えて、天井高が高いから照明にも気を配らないと店の中が明るくならないので人が入りにくい。(人は本能的に暗い所には行きたがらない。が、奥に明るい部分があればそこに向かって進んでいく)

住居と店舗というプライベートとパブリックなものが共存している場合は動線をうまく分けないと、住む人はもちろん、店舗としても客が入りにくいという例を実体験を持って知ったのだった。