世界報道写真展@東京都写真美術館

恵比寿の東京写真美術館で開催中の世界報道写真展2011に行ってきた。

この展覧会は毎年世界の報道写真から優れたものをピックアップして展示している。
報道写真なので、世界で起きているニュースに関係している。
(ただ、毎年訪れる度に、こんなことが世界で起きていたのか、と驚かされる。そして、自分が普段目にしたり、耳に入ってくるニュースとなんてほんの一部なんだ。と気づかされる)

写真を見るだけでは、何が起きているのか分からないので、写真の近くにある説明文を読む。
報道写真なので、自然がだったり動物を撮ったものもあるけれど、ほとんどが人を撮ったものだ。

報道写真展には毎年訪れているけれど(とはいっても、まだ3回目位だけど)、今年の展示(実際に撮られたのは昨年)は世界的に地震等の災害があったためかそれに関係する写真が多いかと思われたか、そんなことはなかった。

生きたいという強い思いがこめられた写真があった。
草原で人が死んでいる(暗殺された)写真があった。
売名行為ととられる事を覚悟で病気の赤ん坊を助けようとした人の写真があった。
路上で撃ちあいをして、両者とも死ぬ姿を追った写真があった。
そして、鼻と耳をそがれても真っ直ぐな目でこちらを見つめる写真があった。

展示された作品には、人の脆さも力強さも悲しみも楽しみも映し出されていた。
自分が生き残るために災害で亡くなった人を人ではなくモノとして扱っているように見えた写真はショックだった。
けれど、もし自分が生きるか死ぬかの状態になっても同じような事をしないだろうか、と、ふと頭の中をよぎった。

自分の年齢が分からないために、何年も牢屋の中で過ごさなくてはならない人達の写真を見て、自分が自分であることの証明は戸籍以外にどうやってすればいいのだろうか。と考えた。自分が自分である事を忘れないために、誰かに自分の事を覚えてもらうのだろうな。

今年の1st Prizeの写真はTimeの表紙になっていたので、はじめて見た時の衝撃程ではなかったけれど、良い写真だった。自分が受けた傷を隠すことなくカメラの前にさらけ出すことは被写体の女性にとっても、写真を撮る側にとっても勇気のいる行動だったと思う。そしてその写真をTIMEの表紙に使うことも。

ここに書いていなかった写真にもそれぞれの背景があり、それらは意識しなければ普段目にしないものばかり。
なので、写真を見て何かを感じることもあるけれど、世界で何が起こっているのかを知るための良い機会になると思います。

8/7まで。各地に巡回するようです。
http://www.asahi.com/event/wpph/